今日こんなことに気付いた

バイクと映画と犬が好きで趣味で漫画も描く50男が日々気付いた記録

「よく来たね」って言葉が欲しくて

両親に会いに静岡県から石川県へ車を走らせた。新型コロナ感染状況が落ち着いている今、北陸に雪が降る前の今しかないと、奥さんと休日を合わせて宿泊予約を取った。
到着して金沢市で兄に夕食を奢ってもらいながら近況確認、翌日は妹にランチを奢りながら近況確認、楽しいひと時だった。
奥さんと先祖の墓参りを済ませてから(奥さんは墓参りを疎かにすることを許さない)母の入居施設を訪ねた。電話で面会を申し入れていたので、施設長が玄関ロビーまで母を連れてきてくれた。母の認知症はさらに進行していて、僕と施設長の区別も付かない様子だった。母の眼をじっと見つめたが何も感じていないようだった。母の細くなった膝に手をかけたら、施設長がやんわりと車椅子を後ろに下げた。接触禁止なのだった。
別の場所の父の入居施設を訪ねた。感染予防で面会禁止の張り紙が貼ってあるけど、直接お願いすればロビーで面会させてくれることを知っていたのでインターホンでお願いしたら鍵を開けて入れてくれた。
歩行器を使って父がエレベーターから降りてきた。半年前に会ったときよりもさらに瘦せていて少し驚いた。座って少し話しをするが、父からほとんど返事はなかった。抗うつ剤を処方されていること、最近頑固になっていることは兄から聞いていた。身体がつらそうな様子なので面会は早々に切り上げた。普段は父の前でよくしゃべる奥さんもこの日は始終黙っていた。父はエレベーターに乗り込むと顔も合わさずに扉を閉めた。
宿泊先へ向かう車中で僕はひたすら悲しかった。奥さんがほとんど一人で喋っていたが僕は全然聞いていなかった。
いい歳をしてまだ僕は、両親から「よく来たね」と言って欲しいのだ。多分来年の春にまた行くだろう。両親が「よく来たね」と言わないと分かっているし、悲しい気持ちになるのも分かっているけど会いに行くだろう。
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途中の中央道から見た晩秋の山の景色が美しかった。
2021.11.29(月)晴れ