今日こんなことに気付いた

バイクと映画と犬が好きで趣味で漫画も描く50男が日々気付いた記録

大菩薩峠、86歳義父の聖地巡礼

要らなくなったカラーボックスを玄関前で解体していたら、母屋から義母が出て来て、じいちゃんと大菩薩峠まで車で走ってくれないかと言ってきた。

そういえば二年前、新蕎麦を食べに信州まで行ったとき義父が、いつか大菩薩峠へ行きたいと言っていたことを思い出した。若い時観た映画の場所がどんなところか気になりつつも、行きそびれているうちに免許を返納してしまったそうだ。

その日は特に用事もないし小春日和の晴天。じゃあ行けるときに行きましょう、ということで家にいた妻と二女に、じいちゃん達と山梨へ行ってくると告げると、自分たちも行くと慌て出した。

旅好きな二女が、大菩薩嶺に行っても登山道しかないから、どうせ行くなら昇仙峡がいいよと言いだした。違うんだ、これは聖地巡礼なんだと言ったら納得した。

義父が観たという映画は1960年公開の市川雷蔵主演「大菩薩峠」だろう。他に同名映画で片岡千恵蔵や仲代達也が主演したものがあるけど市川雷蔵版が一番有名みたいだ。僕は観たことはない(多分観ることもない)。当時の義父は20代半ば、僕も20代に観た映画は思い入れが深い作品が多いから義父の想いには共感できる。

行きはカーナビを頼って、東名御殿場ICから中央道に乗って大月ICから塩山に向かうルートになった。山は紅葉がところどころ残っていて青空に映えて綺麗だった。山梨県側から見る富士山は既に薄く雪を被っていた。久しぶりの行楽に義父は多弁になっていて後部座席で妻とワイワイしゃべり、僕と助手席の二女はやかましいなーと思っていた。

大菩薩峠ラインという道を走り(はい、たぶんここが目的地大菩薩峠です)、途中から登山道駐車場に向かう道を登り始めたが、車ですれ違うのも難しい細い道で、しかも登山を終えた車が次々下ってくる時刻だった。この道は無理ー、と言って引き返した。帰りは二女に運転を代わってもらって、河口湖ICから朝霧高原を通るルートにした。

車中から紅葉を見るだけのドライブだったけど、義父は念願を叶えたし、良かったのではないか。

翌日妻が「あの場所は以前も行ったよね。柿を買った農家の駐車場は前に行った記憶があるから」と、誤認の記憶を語り出した。いつものことなので反論する気になれず「そうだね、別の世界でそういうことがあったんだろうね」と最近流行りのマルチバース理論で煙に巻いた。

2022.11.23(水)雨