今日こんなことに気付いた

バイクと映画と犬が好きで趣味で漫画も描く50男が日々気付いた記録

軽井沢・安東美術館でレオナール・フジタの絵を見る

軽井沢といえば、有名な避暑地で高級別荘地という印象だ。僕の平凡な人生とは無縁で一度も訪れたことがなかった。

日曜日の朝、妻が「今日は用事ある?」と訊いてきた。こういうときは返事に用心したほうがいい。「特に用事はないけどやりたくないことはしたくない。」と曖昧な返事を返した。

安東美術館で藤田嗣治(つぐはる)の絵を見に行きたいと言われた。軽井沢に新しくできた美術館で今日が開館日だという(※)。フジタツグハル?どんな画家だっただろう?検索してすぐに納得がいった。レオナール・フジタ、前髪パッツン、丸メガネに面長の顔、フランスで活躍した、特徴的な少女画で有名な画家だな。

自宅から軽井沢まで270キロあるけど、最近遠距離ドライブに慣れているので車で行くことにした。藤田の絵よりも軽井沢という場所に一度行ってみたいという気持ちが強かった。

完成したばかりの安東美術館は軽井沢の街に相応しいお洒落な外観だった。時刻が15時を過ぎていたせいか人はそれほど多くなかった。

藤田が戦前フランスに滞在した時代の絵、すでにこのときから画風は確立されている。日本に戻ってから軍に協力して描いた戦争画(この活動がのちに国内で非難される)。そして戦後フランスに永住してから描いた代表的な少女と猫の絵、聖母子画など、約180点の作品が展示されている。

もちろん絵は素晴らしいのだが、女性や少女の顔はどれも同じ特徴、平面的で少し両目が離れていて、無表情あるいは微笑を浮かべていて、一目でレオナール・フジタの絵と分かる顔だ。ファンにはたまらない魅力なのだろうけど、正直僕はもっと違う顔が見たいと思ってしまう。

これは僕の勝手な想像だけれど、藤田はこの個性的な少女画で有名になり過ぎてしまって、他の画風で描くことが許されない状況だったのかも知れない(画商から同じような絵の注文しかこないとか)。展示されていたデッサン画の中には写実的な女性像もあったから、やろうと思えばいろいろな画風で描けたんだと思う。

妻はかねてから僕が油絵を昔にやめてしまったことを残念に思っていて、ことあるごとに僕が絵に興味を持つように仕向けてくる。美術館に行こうと言ったり、最近では映画「線が、僕を描く」を観に行こうと誘ってくる。いや、もう絵を描く情熱ないんだけどね。

2022.10.30(日)晴れ

※この文章は10月8日(日)に下書きを書いた