僕の黒歴史「親戚の結婚式」
20年以上昔になるけど、思い出すのも辛くなる経験をした。
妻の家の婿養子になった僕は、以降義父の代理で様々な冠婚葬祭に出される羽目になった。正直名前も顔も知らない親戚たちに混ざって行事に参加するのは苦痛だった。義父からすれば農作業で手が離せないというのは建前で、跡取りの顔を早く親戚縁者に覚えて貰いたいという思惑があったのだろう。
とある親戚の結婚式に義父の代理で出席するように頼まれた。義父が兄のように慕っていた叔父の家に養子縁組した人の結婚式。僕はどういう関係になるのか理解できなかったが(今も理解できない)、我が家にとって大切な親戚家だから出なければならないと言いくるめられて、式場ホテルで向かった。顔も知らない相手の結婚式に出るって何なんだろう?と思いながらも、葬式や法事に較べたら結婚式は幾分気が楽な感じがした。
披露宴の前に親族同士の顔合わせをするので、別室に集合するようにとアナウンスがあった。僕は深く考えずに一緒に入ってしまった。
そこで新郎側、新婦側に分かれて並び、一人一人の紹介が行われた。僕のことは紹介されなかった。もともとメンバーに入っていないのだとすぐに悟ったが、今さらドアを開けて出ていくわけにもいかない。神妙な顔を保ちながら針のむしろの状態に耐えた。始まる前に誰かが気付いて教えてくれればよかったのだろうが、新郎と新婦側とはお互い初対面が多いから、僕が部外者だと分かる人はいなかったのだろう。(それでもホテルのスタッフは人数が一人多いことに気付いてよ!)
披露宴が終わったあと、記念撮影をするので全員集まってくださいとアナウンスが流れたが、僕はそこに入る気分になれなくてそっと帰った。
このことは誰にも話さなかった。先方からは何も言ってこなかったようだし、無かったことにされたのだろうか。今も代理で冠婚葬祭に出ているが、なるべく親戚面をしないように控えめに振舞っている。
2022.2.23(水)晴れ