健康ウォークで夜道に迷う

最近、街中でウォーキングやジョギングをしている人が増えた。

外出自粛で運動不足にならないよう、３密にならない運動を取り入れているんだろうけど数人で固まっておしゃべりしながら歩いている様子も見られる。

僕は以前から腰痛対策のために夜に一人で歩くようにしている。自粛要請が出てからほぼ毎晩歩くようになった。昼間動いていない分、多めに歩かないとぐっすり寝れないからだ。

昨晩は夕食を食べてから横になってスマホを見ていたらウトウトしてしまい、気付いたら２０時を過ぎていた。いつもなら１９時頃から歩くのが遅くなってしまった。でも明日も休日だし、遅くなってもいいかと思って家を出た。

明るい街中を避けて、山に向かう県道の坂道を上る。高架になっていて眼下に河川や畑、線路が見下ろせる。その先には住宅街の明かりが広がる。県道を上がりきると国道に出るので、ここから下って帰り道になる。

右手が林になっている歩道を歩いていたら、前方に黒い塊が動いていた。猫にしては大きいから狸かハクビシンかも知れない。近づくと林の中へ姿を消した。街灯の明かりで太くて長いしっぽが見えた。

このまま歩き続ければやがて商店街の通りに出て、そこから自宅までの道は分りやすい。それではつまらないと思って、今日は住宅街を通過してみようと途中で道を折れた。こっちに住むようになって初めて通る道だった。

住宅街を歩いているうちに方向が分からなくなった。橋に出たので川沿いを歩けば知っている道に出るだろうと思って歩き続けたら、だんだんと家がまばらになって、とうとう暗い農道を歩いていた。不安になってきた。さすがに帰れないとは思わないけど、必要以上に時間がかかってしまいそう。いい歳して夜道を迷っている僕は何なのだろう。僕が将来認知症になるようなら間違いなく徘徊するから、家族は服にＧＰＳを縫い付けるのがいいと思う。

前方に新幹線の高架が見えるのでそっちを目指した。新幹線と並行して最初来た県道の高架があるからそこに戻ればよい。

新幹線の高架をくぐり、その先に県道の高架が見えたので、どこかで上がる道はないかと歩き続けたら、うまい具合に合流する坂道にたどり着けた。

帰宅すると２２時を回っていた。奥さんと娘に道を迷った話をしたら笑われた。

ふと、途中で見た動物のことを思い出して、狸かムジナに騙されたのなら面白いと思った。

昔ばなしに登場するムジナとは二ホンアナグマのことだそうだ。アナグマが近所に生息しているとは思えないから多分狸だったのだろう。

2020.5.3（日）曇り